「過食」「拒食」という言葉を耳にしたことがある方は多いと思います。その背景には心と体の状態が深くかかわっていることが多いのだと思います。
過食や拒食は単なる食習慣の問題ではなく、知らず知らずに極端な思考や強い不安感に覆われてしまう食行動です。
食べずにはいられない、食べられない、体重や体型への過度なこだわりなど、日常生活に大きな影響を及ぼしやすくなりますよね。
そして「もっと痩せなければ」「食べたら太る」という0か100の思考に支配されることで、心身は常に緊張状態に陥り、苦しさが増しやすくなります。
現代社会では過食や拒食は誰にでも起こりうる隣り合わせではあります。
本記事では、今、辛さを抱えている方はもちろん、そのような方が増えていることを知っていただいて、心と体を守るための視点としてお伝えできたらと思います。
今回は、こころとカラダの栄養ダイエットでカウンセリング栄養コーチをしている管理栄養士の筆者が「過食・拒食とは?心と体を縛る極端な食行動の正体」のお話しをさせていただいていますので、ぜひご覧ください。
過食・拒食とは何か
「過食」「拒食」とは、単なる食習慣の問題ではなく、心と体に深く関わる食行動の乱れではあります。
食べることに精神的な困難があり、自分の意志でコントロールできない状態が続くのが特徴です。

例えば「食べずにはいられない」「食べられない」といった極端な行動や、体重や体型への過度なこだわりが日常を支配してしまうことがあります。
行動症状としては、極端な食事制限やむちゃ食い、過食嘔吐、チューイング(噛んで吐き出す行為)などが挙げられます。
これらは一時的な食生活の乱れではなく、心身のバランスが崩れているサインです。過食や拒食は誰にでも起こりうるものであり、理解と気づきが改善の第一歩となります。

過食・拒食はどういう思考?
過食や拒食は「食べること」に対して精神的な思考や困難があり、自分の意志でコントロールできない状態を言います。
過食では食欲が抑えられず、必要以上に食べてしまう一方、拒食では食べること自体を極端に制限してしまいます。
どちらも心の不安やストレスが背景にあり、単なる食習慣の問題ではありません。
食べることが「安心」ではなく「不安」につながる状態が続くと、心身の健康に大きな影響を及ぼしまていきます。
精神的症状の特徴
過食や拒食には共通して精神的な症状が見られます。例えば「食べずにはいられない」「食べられない」といった極端な行動や、体重や体型への過度なこだわりです。
頭では理解していても食行動が伴わず、平均以下の体重でも「太っている」と感じてしまうこともあります。
こうした思考は心を追い詰め、食事に対して常に不安や緊張を抱える状態を生み出していきます。
行動症状の具体例
行動面では、拒食症のように極端に食べない状態や、過食症のようにむちゃ食いを繰り返す状態が見られます。
さらに、過食嘔吐では食べた後に意図的に吐いてしまう、チューイングでは噛んで吐き出すなど、食べ物との関係が不自然になります。
これらの行動は心身の不安定さを反映しており、体調不良や精神的な辛さを悪化させる要因となります。
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「0か100思考」が心と体を追い詰める
「もっと痩せなければ」「食べたら太る」という強迫的な思考に支配されると、心と体は常に緊張状態に陥ります。

これは「0か100」「白か黒」といった極端な考え方に脳が覆われてしまう状態です。柔軟な思考が失われることで、安心できる選択肢が見えなくなり、食べること自体が不安や恐怖に直結してしまいます。
結果として、過食や拒食といった行動が繰り返され、心身のバランスが崩れていきます。
この思考パターンは一見「強い意志」に見えるかもしれませんが、実際には心を追い詰め、体を疲弊させる大きな要因です。
理解しておきたいのは、この状態は誰にでも起こりうるものであり、決して特別な人だけの問題ではないということです。

極端な考え方に脳が支配される仕組み
「0か100思考」とは、物事を極端にしか捉えられなくなる脳の状態です。食事に関しても「食べる=太る」「食べない=安心」といった二択でしか考えられず、柔軟な判断ができなくなります。
脳がこの思考に支配されると、安心感を得るために極端な行動を繰り返し、結果的に心身の不安定さを強めてしまいます。
「もっと痩せなければ」という強迫的な思考
過食や拒食の背景には「もっと痩せなければ」「食べたら太る」という強迫的な思考があります。どんなに痩せていても「まだ足りない」と感じてしまい、安心できる基準がなくなります。
本来は食べても問題ない食事でさえ「太る」と感じてしまい、食べることがストレスに直結します。この強迫的な思考が心を追い詰め、日常生活の質を大きく低下させます。
柔軟性を失い心身が緊張状態に陥る危険性
「0か100思考」に支配されると、心の柔軟性が失われ、常に緊張状態が続きます。食事や体型へのこだわりが強すぎることで、安心できる時間がなくなり、心身は疲弊していきます。
緊張状態が続くと、睡眠の質や集中力も低下し、体調不良や精神的な辛さが悪化します。柔軟な思考を取り戻すことが、心身を守るための大切なステップです。
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過食・拒食は誰にでも起こりうる
過食や拒食は特別な人だけが抱える問題ではなく、誰にでも起こりうる隣り合わせの現実です。きっかけはダイエットや健康志向、あるいは日常のストレスなど、身近な要因から始まることが多いのです。
最初は「少し食事を減らそう」「もう少し痩せたい」といった軽い意識からでも、極端な食行動に繋がることがあります。

本人が気づかないうちに、食べることが安心ではなく不安に変わり、心身を追い詰めてしまうのです。
著者自身も十代の頃に経験したように、過食や拒食は誰にでも起こり得るものであり、決して他人事ではありません。理解と気づきが、心と体を守る第一歩になります。
ダイエットや健康志向から隣り合わせで起こる可能性
過食や拒食は、ダイエットや健康志向の延長線上で起こることがあります。
「痩せたい」「健康になりたい」という思いが強すぎると、食事制限や偏食に繋がりやすくなります。
最初は軽い意識でも、極端な行動に発展すると心身のバランスを崩し、過食や拒食に陥る危険性があります。
ストレス状態が発症リスクを高める
日常のストレスも過食や拒食の大きな要因です。仕事や人間関係の不安から「食べずに安心したい」「食べて気を紛らわせたい」といった行動に繋がることがあります。
ストレスが続くと食行動が乱れやすく、心身の不安定さをさらに強めてしまいます。
私自身の経験から伝えたいこと
著者自身も十代の頃に過食や拒食を経験しました。自分がそうなるとは思わずにいたのに、気づけば食べることが不安に変わっていたのです。
この経験から「誰にでも起こりうる」という現実を強く感じています。だからこそ、読者にも「他人事ではない」と思っていただけたらと思います。
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心の辛さと日常生活への影響
過食や拒食は、単なる食行動の問題にとどまらず、心の辛さを伴い日常生活全体に影響を及ぼします。
「0か100思考」に支配されると、望む結果が得られない限り安心できず、常に緊張状態が続きます。そのため、心は疲弊し、疎外感や孤独感を抱きやすくなります。

さらに、栄養の循環が阻害されることで体調不良が起こり、心身の不調が悪循環を生み出します。こうした状態は本人だけでなく、周囲との関係にも影響し、日常生活の質を大きく低下させます。
理解しておきたいのは、心の辛さが行動症状を強め、日常を脅かす要因となることです。改善のためには「心の拠り所」を持ち、柔軟な思考を取り戻すことが重要です。。
▶ はじめてでも安心して受け取れる、整えるヒントをまとめました

「0か100思考」が心を追い詰める仕組み
極端な思考に支配されると、望む結果が得られない限り安心できず、心は常に緊張状態に陥ります。
「痩せなければ安心できない」「食べたら太る」という強迫的な思考が続くことで、心は休まる時間を失い、疲弊していきます。
こうした思考は心の柔軟性を奪い、日常生活の中で安心感を得ることが難しくなります。
疎外感や孤独感につながる影響
心が緊張状態にあると、周囲との関わりにも影響が出ます。人の目が気になり、疎外感や孤独感を抱きやすくなり、さらに心を閉ざしてしまうことがあります。
結果として、社会的なつながりが希薄になり、日常生活の質が低下します。心の辛さは本人だけでなく、周囲との関係性にも影響を及ぼすのです。
栄養の循環が阻害される悪循環
食べることは心身に栄養を届ける大切な循環です。しかし過食や拒食によってその循環が阻害されると、体調不良や精神的な不安が悪化します。
栄養不足は心の安定を奪い、さらに不安や緊張を強める悪循環を生み出します。心と体は密接に繋がっているため、食行動の乱れは日常生活全体に影響を及ぼします。
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読んでいただいた方へのメッセージ
過食や拒食に悩む方へ伝えたいのは「自分を責めないでほしい」ということです。こうした食行動に陥る人は、素直で優しく、誠実で真面目な方が多いのです。

だからこそ、強い意志で頑張りすぎてしまい、心と体を追い詰めてしまうのだと思います。過食や拒食は誰にでも起こりうるものであり、決して特別な人だけの問題ではありません。
大切なのは、その辛さに直面したときに「こころの拠り所」を持ち、柔軟な思考を育てていくことです。
未来の自分を想像し、いきいきと過ごす姿を思い描くことが、改善への第一歩になります。どうかあきらめず、心と体を整える習慣を少しずつ取り入れていってください。
「全体的な安心感」をもたらし、ホリスティックな健康の完成度を高める重要な要素なのです。
▶こちらの記事も参考になります🔗「心の栄養で摂食障害を克服して心の健康を守る3つの習慣」
素直で優しい人ほど抱えやすい
過食や拒食に陥る人は、素直で優しく、誠実で真面目な方が多いといわれます。人一倍努力し、責任感が強いからこそ「もっと頑張らなければ」と自分を追い込みやすくなるのです。
これは弱さではなく、むしろ人としての誠実さの表れです。だからこそ「自分を責めない」ことが大切です。
自分を責めないでほしい
過食や拒食の辛さを抱えていると「自分が悪いからだ」と責めてしまう方も少なくありません。しかし、それは誤解です。
こうした状態は誰にでも起こりうるものであり、あなたの人柄や価値を否定するものではありません。むしろ真面目で誠実だからこそ、心が頑張りすぎてしまった結果なのです。
どうか「自分を責めないで」ください。安心して未来を描くために、まずは自分を受け入れることから始めましょう。
誰にでも起こりうる現実
過食や拒食は特別な人だけの問題ではなく、誰にでも起こりうる現実です。ダイエットや健康志向、日常のストレスなど、身近な要因から始まることが多いのです。
少しのきっかけで食行動が乱れ、心身を追い詰めてしまうことがあります。だからこそ「他人事ではない」と理解することが重要です。
あきらめず未来を描くこと
辛さに直面したときこそ、未来の自分を思い描いてほしいのです。いきいきと過ごす姿を想像することで、心に希望が芽生えます。
小さな習慣を積み重ね、柔軟な思考を育てていけば、心と体は少しずつ整っていきます。あきらめずに前を向くことが改善への第一歩です。
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全体のまとめ
過食や拒食は、特別な人だけが抱える問題ではなく、誰にでも起こりうる隣り合わせの現実です。
ダイエットや健康志向、日常のストレスなど、身近な要因から始まることが多く、気づかないうちに「食べること」が安心ではなく不安に変わってしまうことがあります。

本記事で、みなさんに伝わりやすく、そして「自分も当てはまるかも」と共感できる部分があった時に、少しでもお役にたてたらと思っています。
重要なのは、過食や拒食の背景にある「0か100思考」や心の辛さを理解し、自分を責めずに未来を描く視点を持てていくことなのかもですね。
小さな習慣を積み重ね、心と体を整えることが改善への第一歩となります。読者のみなさんが安心して「食べること」と向き合えるように、この記事がそのきっかけとなれば幸いです。
管理栄養士 平野ふみ
◇参考文献
–厚生労働省「摂食障害に関する情報」
–日本摂食障害学会「摂食障害の理解と支援」
–平野ふみ著「摂食障害を乗り越え管理栄養士に 自分のことを好きになるダイエット」